中小企業の人事担当者にとって、住民税の理解は給与計算や従業員管理において非常に重要な要素です。住民税には「所得割」と「均等割」の2つがあり、2024年からは新たに「森林環境税」も加わるため、それぞれの仕組みを理解しておくことが求められます。
住民税の「所得割」は、従業員の前年の所得に基づいて計算されます。所得に応じて変動するこの税は、標準的な税率が10%とされていますが、政令指定都市の場合、都道府県民税と市町村民税に分かれており、それぞれの税率が異なることに留意する必要があります。たとえば、政令指定都市では市民税が8%、道府県民税が2%という割合で課されます。企業が従業員の所得税を源泉徴収するのと同様に、住民税も給与から天引きされるため、正確な計算と管理が必要です。
一方、「均等割」は、所得に関係なく一律に課される税で、税額は全国共通で市町村民税が3,000円、道府県民税が1,000円となっています。均等割は、企業の規模や従業員の収入にかかわらず一定額が課されるため、給与計算の中でも比較的シンプルな要素です。ただし、この均等割には、新たに追加された「森林環境税」が加わります。2024年から導入されるこの森林環境税は、環境保護を目的としたもので、均等割の一部として市町村を通じて国に納付されます。具体的には1,000円が追加されるため、均等割の合計金額は市町村民税、道府県民税、そして森林環境税を含めて5,000円となります。
2024年から加わる森林環境税に対する理解も重要です。企業としては、この税が導入された背景や目的について従業員に説明できるようにしておくことが望まれます。森林環境税は、国が集めた税金を都道府県や市町村へ分配し、各地域での森林保全や環境保護活動に使われることになっています。この税の導入によって、従業員一人あたりの均等割の納付額が増加しますが、その増加分が環境保護に使われることは理解を促すためにも重要です。
最後に、住民税の支払い方法にも注目しましょう。従業員が住民税を特別徴収で納める場合、企業は毎月給与から天引きし、その金額を各自治体に納付します。これにより、従業員が自ら納税の手続きをする負担が軽減され、企業としても効率的に管理することができます。ただし、従業員が退職した場合や転職した場合には、普通徴収へ切り替えが必要になるため、その際の対応も適切に行うことが求められます。企業の担当者はこうした事務手続きも把握し、スムーズな運用を心がけることが大切です。
住民税やその制度は定期的に改正されることがあるため、企業の人事担当者としては常に最新の情報を把握し、適切な対応ができるように準備しておく必要があります。特に、2024年から始まる森林環境税の導入により、住民税の仕組みにも変化が生じます。これにより給与計算の際に生じる影響を事前に理解し、従業員に対しても適切に説明できる体制を整えておくことが重要です。